見るなキタ━(゚∀゚)━!

トイレの「小」の方で流せるタイプの文章を書きます。そしてお前を許さない。

アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』3話

アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』3話見たねえ。

 

あらすじ

大戸アイちゃんがエッグを買うと、見たことのない少女が急に痛みを訴えてうずくまる。どうやら夢の世界での痛みが現実に持ち越されるのを知らなかったようだ。アイちゃんは心配して話しかけるが、メッシュの入ったヤンキーぽい少女は急に大丈夫になったとすっくと立ち上がる。あっけにとられてると更に「ガチャ回したいけどお金持ってくるの忘れて。お金貸して。絶対返すから」と金をせびられ、威圧に負けてお金を貸してしまう。

その後アイちゃんはねいるちゃんに会いに病院に行こうとするが、なんと家の前にさっきのヤンキーっぽい少女、川井リカが座り込んでいた。お金を返してくるわけでもなく、病院についてくる川井リカ。

アイちゃんがねいるちゃんのためにもってきたフルーツも無遠慮にパクパク食べて、ねいるちゃんとは仲違い。

更にそのままアイちゃんの家に泊まりに来る始末。

アイちゃんはこんな子でも誰かのために戦ってるんだと思い、生き返らせたい人について聞くが、リカは「私が生き返らせたいのは財布ちゃんだよ。私がアイドルやってる時にお金払ってくれたデブの子。デブの子嫌いなんだけど、お金くれるからさ」とか言ってくる。

「あなたも友達を顔で選んでるんでしょ?」と言われアイちゃんは怒るが、それも通じず、リカは風呂入って泊めてと言う。

仕方なく一緒に寝るとワンダーエッグの世界へ。しかし、今まで見たことない、お花畑の世界。

一緒に眠ったからより思いが強い方の世界に引っ張られたと説明を受けるが、アイは自分がこんなちゃらんぽらんに気持で負けるわけがないとプンスカ怒る。

2人で割ったエッグの中から出てきた、好きなアイドルの後を追い自殺した二人のファンの子を守るため、アイとリカは協力して戦う。

しかし広い花畑で四方から襲ってくる的に上手く対応できず、せめて狭いところにと灯台へ逃げ込む。

そこでアイはリカが自傷している事に気付き、デブの子とか言ってるけどきっと何か理由があるはずだとリカを問い詰める。

デブの子は、売れない地下アイドルだったリカのために何度も握手会に来て、盗品を換金してまで彼女に尽くしていたファンだった。盗みなんてさせたくなかったからデブで手汗のすごい子は嫌いとかって突き放してたのに、結局死んでしまった。

アイは自分も親友に相談されなかったことを思い、一緒に戦おうと決意する。

そして現れたバケモノと交戦。しかしリカは攻撃を受け石化してしまう…。

 

感想(前置き)

感想とは感想なのです…

 

感想

そっちか~。前回の俺の川井リカへの妄想は完全に外れてて「全然俺が思ってたのと違うじゃん!」と一人で笑ってた。

それはそれとして、めちゃくちゃ陽キャっぽいリカを前にした大戸アイがキョドってて「ああ、お前はこういうヤツ苦手だよなあ」とウケました。性格合う人の前ではおどけてて明るいんだよね、アイちゃんは。

あとリカちゃんとねいるちゃんのやりとりが面白くて良かった。やっぱデリカシーないというか、好き勝手やるやついると面白えわ。大人に媚びうるやつは信用ならないって人間観察力を持ってるねいるちゃん好き。三者三様の性格の悪さで見てて心地よいですね。

それに前回俺が「アイちゃんはクズなので誰かにクズと指摘されて欲しい」という願いをリカちゃんが若干叶えてくれて(俺の思惑とはちょいと違うけど)引きこもりに対して「あんた構ってちゃんだ」「デブは嫌いって言ったら怒るけど、あなたも友達を顔で選んでるんでしょ?」って言うのは良い。ズケズケと人の触れられたくないところに触れてくるヤツは好きですね。話が深くなるので。

リカちゃんはマジもんメンヘラサイドで、個人的に全く触れたくもない地下アイドル界隈という世界の住人で、そっちかあって感じ。アイドル時代の髪色が夢見りあむだったのでより手を出したくなさがUPしました。

 

なんとなくだけどやっぱり大戸アイだけ偽物っぽさがある。まあ偽物も本物もないけど、前回言ったようにSyrup16g聞いて悲劇のヒロイン気取ってそうな感じ。

Syrup16g『ニセモノ』「結局俺はニセモノなんだ/見せ物の不感症/拾った想い吐き出して/愛されたいのまだ」

親友の小糸ちゃんとかリカちゃんは本物って感じ。俺の主観での本物/偽物だけど。こいつらみんなオーバードーズしてるよ多分。

でも全然そういう界隈にいない大戸アイだからこそ救える何かが在るって話になんのかね。

 

正直方向性が俺が思ってるのとちょっとずつズレ始めてるから、まあここまで来たら見るし今も全然面白いけど、どう捉えていけばいいかよく分かんなくなってきたんだよね。伏線回って感じだったしね。

戦闘シーンがまどマギのメリーポピンズ戦みたいでかっこよかった。

 

リカちゃんの武器がカッターで自傷は分かって、アイちゃんは四色ボールペンでしかなくて、じゃあねいるちゃんはって考えた時にめちゃくちゃエグかったら面白いな。なにその拷問器具、みたいな。ねいるちゃんの戦闘シーン出さないのって武器がエグいからじゃないかなあとか予想。

 

終わり

映画『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』

映画『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』見ま見ま見まし見まししし

もうおれこういうのが好きなんだわ。THE・邦画なコメディ。星5。

 

あらすじ

70年代のある田舎、夏。主人公こと「ママチャリ」くんとその仲間たちは高校生として暇を持て余しイタズラばかりしていた。勉強が嫌だとか思春期だとか社会への反抗だとか理由はどうとでも付けられるが、彼らは単に馬鹿でイタズラが大好きだったのである。

そうして傍若無人に楽しんでいたある日、ある男が町にやってくる。いつもどおり仲間の一人が原付きでブイブイ言わせていると、新しく赴任した「駐在さん」にスピード違反で注意される。それを聞きつけたママチャリくんは「じゃあ自転車ならスピード違反もないだろ」と皆で全力チャリ漕ぎで駐在さんの前を横切ってやった。

しかし速度違反で連行。ママチャリくんはチャリなら良いじゃんと文句を言うが駐在さんは「自転車も軽車両だ」と突っぱねる。

そしてここからママチャリくんたちイタズラっ子どもが卒業するまでの間、駐在さんとの700日戦争が勃発したのであった!

いたずら小僧共と駐在さんのイタチごっこが続きながらも、作戦会議室としてたむろしていた喫茶店の女性店員に惚れアタックを仕掛けたり、その女性店員は駐在さんの奥さんだったり、駐在さんの浮気現場を目撃したと思ったら奥さんの妹だったり、いたずらしたり、いたずらし返されたりと戦争は続く。

そんなある日、原付きで事故った仲間の一人が病室で「次は花火を盗もう」と提案する。他の仲間はさすがに盗みはやれないよと却下し解散するが、ママチャリくんはは忘れ物を取りに病室へ帰った折に原付きのやつが消除と話しているのを聞いてしまう。彼は「打ち上げ花火が見えたら手術する」と言っている少女の願いを叶えようとしていたのだ。

それを聞いたママチャリくんは一人花火を盗む計画を練る。

なんとか計画を練って当日作戦を実行しようとするが、一人では到底手が及ばない。どうしようもないと打ちひしがれているところに、仲間が集ってくるではないか!

なんと皆で計画を実行しいざ完遂!というところで駐在さんがやってきてバッグの中身を見せろと迫る。ピンチかと思われたが仲間の機転でなんとか難を逃れ、追いかけっ子が始まる。

しかし追い詰められ「ここで火を付けたら前科者になるぞ」と脅されるが、仲間の邦画大事だと着火。無事花火は打ち上がる。彼らの逮捕とともに…。

だが、実は駐在さんも少女の願いを聞き届けていて実費で打ち上げ花火を買っていた。「だからお前らが上げる必要はなかったん」と注意した後「花火職人からお前らが花火を買ったと聞いてるよ」と言う。ママチャリくんの計画を知った親方が気を利かせてくれたのだった。

今回は逮捕もなし、これにて一件落着!

これが駐在さんとの戦争の「100日目」の出来事。

そう!まだまだこれからも駐在さんとの700日戦争は続いていく!

 

こんな感じっすかね

 

感想(前置き)

好き嫌いやこうだったらいいのに、自分だったらこうするなってことを書きますよん

 

感想

こう、色々と難しい映画や出来の良い映画、アカデミー賞作品やパルム・ドール賞作品を見てきてあーだこーだ言ってきたけど、なんてことはない俺は多分こういう中身のねえ馬鹿な日本のコメディが好きなんだ。

8割くらいストーリーないし、俺がいつも嫌っている「目的・着地点が見えない話」なのに全ッ然面白く見えるもん。いや正直深く記憶には残らないんだけど、内容をハッキリ言ってくださいと聞かれるとあんまり覚えてなくて、それは目的がないってとこにも通じるが、でも面白いじゃん!自転車でも速度違反取られたからじゃあ走るかつって、でも金属を探知してるから生身じゃ無理だよ→じゃあ金管楽器だ!って目的見失ってるじゃん!馬鹿!

でも良いじゃんこういうのがね…。

目的はないと言いながらすごく分かりやすく「イタズラしてるバカどもの前にイタズラを絶対に許さない駐在さんがやってくるので、絶対吠え面かかせてやるぜ!」って目的というか、ジャンル?というのか、「こういう作品です」って導入はしてる。

エロ本を駐在所に置いてこいつを変態に仕立てようと計画立てたらバレて好きだった駐在さんの美人奥さんの前でタイトルを朗読させられるとか、いいっすよね…。馬鹿だなあこいつらってのが、良い…。

花火のくだりはめっちゃくちゃベタもベタだけど、でも友達のために立ち上がり、一人ひとり犠牲になりながら、目的を遂行するっての燃えるねえ。

しかも最後に助かるのが、騙してた親方に払ってたなけなしの3000円ってのが、主人公・ママチャリくんの人の良さを現してるよね。

こいつらは70年代って設定じゃない、もし現代が舞台だったら結構叩かれてる気がするんだよ。けどさ、駐在さんとの喧嘩も含めてこうして楽しく馬鹿なことやって、エグい犯罪までは行かない、それはまずいよって言える、それくらいの陽気さや線引き、馬鹿の居場所があるのってめちゃくちゃ救いだと思うんですよね。

こいつらはだって、絶対悪いことはしないで、将来だってなんだかんだ幸せになれるだろう。きっとね。

俺はこういうちょっとはみ出てる馬鹿たちは大好きだし、バカ野郎と叱りながら踏み外しはしないように見守ってくれる駐在さんみたいな懐の広さも大好きだ。

 

それから「これが100日目」「卒業するまでまだまだ戦争は終わらない」ってのがまた良いんだよね。ワクワク感がすごい。こんなに楽しいことがまだずっと続いていくんだ!って青春じゃん。うろ覚えだけど『涼宮ハルヒの消失』もラストそんなんだった気がする。卒業して終わる・お別れするのも好きだけど、短い話なら「まだまだこのドタバタ劇は続くんじゃ」ってのが良いねえ

 

結局『サマータイムマシン・ブルース』とか北野武の映画も『龍三と七人の子分たち』がなんだかんだ好きだし、三谷幸喜も良いし、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』とか『神様のパズル』とか好きなのよ。最後にちょっと道を外れたものだから出来る優しさがあるとそれだけでグッと来るので、もうコレで良いんだほんとに。

 

まとめ

日本・夏・高校生・バカ・邦画コメディが好き。

 

終わり

映画『FREAKS フリークス――能力者たち』

映画『FREAKS フリークス――能力者たち』見ました!!

めっちゃ良かった!!!星5!!俺は好きだなあ!!

 

あらすじ

家中の窓にカーテンやテープがひかれ、外の様子が見えない家の中で暮らす父親と年端のいかない娘。父親と娘の仲は良いが、娘は外にも出してもらえず、父親からは「外には悪い人がいて見つかったら殺される」と言われている。

しかしある日娘がどうしてもアイスを食べたくて家の前に止まっているアイス屋で買い物している子に窓から「アイス持ってきて」と念じると、その子がアイスを持ってきてくれる。

父親は何故その子がアイスを持ってきたのか分からないが、自分の娘が外界の人と仲良くしているのを見て「外の子と関わるな」と激怒。娘は余計に外への憧憬を膨らませていく。

そしてとうとう父親が寝ている時に娘は外に出て、屋台のアイス屋へ行ってしまう。アイスを売っているお爺さんに連れられて公園へ行くと、お爺さんに「君は特別な子なんだよ」と教えられる。そこに警官がやって来てお爺さんを誘拐犯だと思い銃を突きつけてくる。しかし、開眼しかけの少女の特殊な能力で警官を洗脳し事なきを得る。

帰宅後、また外に出たいのなら父親が眠っている時においでと言われ、それに従う。

再び会ったお爺さんにダイナーに連れて行かれ、謎の黒服の女に身売りされそうになるが、ダイナーの店員にお爺さんがフリークと呼ばれる能力者であることがばれ、店員を殺害、黒服の女も交渉相手がフリークだったと分かり捕まえようとするがお爺さんと少女はからくも逃げ出す。

帰り道で少女は、お爺さんは自分の祖父で、母親はまだ生きていることを知る。

家に帰ろうとすると父親が現れて祖父を撃退、娘はまた確保される。

娘の力が覚醒してしまったからにはもう自分では娘を守りきれないと、近所の家族に金を積んで娘を養子にしてもらおうとするが、娘がフリークであることがばれて拒否。

自宅でどうしようか悩んでいる父親のもとにまた祖父が戻ってきて娘を隠し通して普通の生活をさせたい父親と選ばれたフリークとして戦わせるべきだという祖父で口論になるが、その間に近所の家族が警察に通報。このままではまずいと思った矢先、娘の遠隔洗脳操作能力により警察を殺害。

その後、娘の能力により、囚われた母親と遠隔で交信。娘の能力で母親の脱出を手助けしようとするが、先程の警察殺害の騒ぎを聞きつけた対フリークス組織が少女の居る家へやってくる。

少女が母親を助ける時間を稼ぐために、父親と祖父は命懸けで対フリークス組織の足止めをする。

なんとか少女は母親を助ける事ができたが、代わりに父と祖父は生命を落とし、助かった母親と少女で世界に復讐をしようと飛び立つ。

 

みたいな感じか。前半がアイスを買いたいサスペンスで後の伏線を張るだけだからプロットしてどう書けばいいか、難しい…。

 

感想(前置き)

好きなことは好き、嫌いなことは嫌い、こうした方が好き!というのが物語を作る大切な気持ちであり技となる。なのでそういうつもりの感想です。

 

感想

おい!めちゃくちゃ良かったよ!俺はすごい好きだった!

なんとなくタイトルやパッケージ裏のあらすじで超能力者が出ることは分かってたから、父親が娘を監禁してるのは娘がやべえ能力者だからだろうなってのは予想つくんだけど、結局ことが明らかになるまで父親がヤバいのか外がヤバいのかが分からずにずっとハラハラして楽しかった。

娘の能力も洗脳はすぐに分かるんだけど、ある部屋が別の場所に通じてしまう現象は何の能力が分からなくて「結局なに使いなのだろう」とワクワク。

長いと評判悪い序盤が飽きずに見えたのは(レビューでそういうのあった。分かるの分かるけどここは自分の心を保つために敢えて悪態をつくぜ)一つが父親と娘の仲は良さそうだったこと。父親は外には出したくないから嘘をついてたけど、仲は良かったんだよ。「心を平静に保つ練習だぞ」といって本気で娘を罵倒するんだけど娘は「だってパパ、変な顔なんだもん」と笑う。それに対して父親が「大事なことなんだぞ」と、でも笑ってる娘に怒るに怒れなくて「ったく」みたいな態度とってしまうのとかなんかすごい良いんだよね。本当はこんなことしたくない、娘のことが好きなのに、でもより遠くの娘の未来を祈って、って感じが伝わってきて良い。

序盤が見えた理由の2つ目が、設定の提示の仕方が好きだった。フリークとは何か、どういう存在かっていうのを事件で間接的に示していたのが俺の好きなSF小説っぽくて良かった。特に父親からは「外に悪いやつが居る」「アイス屋さんは人攫いだ」と情報提示しおいて、アイス屋さんであるお爺さんが善か悪かと思わせながら、公園で警察官に捕まりそうになり、フリークスは迫害されているが、フリークスの中でもまた対立があることをエピソードで示したのとか良かった。

テレビでのフリークスについての報道も、強硬派と穏健派で別れてたり、一つのSF設定に対して派閥が別れてるのってリアルっぽくて好き。

 

前半はまあ誰が悪いのかってことと、能力が読みきれなかったこと、悪い人も人類VSフリークスの他にフリークス内での対立もあり、レイヤーによって敵味方が変わるのが良かった。

 

後半は、というかこの映画の俺にとっての全てなんだけど、お父さんが娘に「娘をフリークスなんかに産ませたくなかった。出来るなら普通の子が良かった」って言うのが凄い好き。異能者としての迫害は勿論、祖父も対フリークス穏健派も能力を利用しようとして娘を保護してくるが、お父さんだけは「ただ普通に幸せで居て欲しい」と願うのが好き。その上、お父さんは娘と妻を救うために死ぬっていう、命懸けでフラフラのボロボロになりながら能力を使ってせめて大切な人の命だけはと敵を足止めするのかっこいいよなあ。死に際の「お前は特別だよ」って台詞も、能力なんて関係なしに父親にとって娘は特別なんだよって愛があって本当に良い(ただ作中でそういう風に解釈されたか微妙なところで、娘には若干伝わりきってない感じがした)。

しかも死ぬのはお父さんだけじゃなくて、対立してたお祖父ちゃんも死ぬのよ。

お祖父ちゃんにとっては少女は孫であるし、その孫が助けようとしてるのは自分の娘で、その2人が協力して助かろうとしている、それを命がけで守る。思想は穏健派と対立したけど、娘や孫を守りたい気持ちは同じだったってのが泣ける。

この喧嘩してた男二人。娘をどうすれば幸せにできるか、結局極論のような対応策しかとれなくてどっちも分からなくなっていたけど、最後には命を懸けて娘を守るっていう。やり方は分からなくても大切な人を大切にしたいって思いだけは本当だったってのがとにかく良かった。

娘が母親を助ける能力を発動するためには父親の能力は使えない、その中で娘を守らなきゃならないって枷もテンション上がる枷だよね。

更にもう一歩俺好みにするなら、娘が母親を助けるか父親を助けるかの葛藤があればよかったな。どっちかしか助けられない、どうしたらいいの?からの父親が「パパは大丈夫だから」って言って一人敵に立ち向かうともっと熱いね。

とにかく父親が良かったんだよね。

 

 

まあだからちょっとオチで「よしママと娘で人類滅ぼすか!」となったのだけは頂けないけど。

 

革命前夜というかエピソード0みたいな感じなので描けないのは仕方ないけど、ちょっと無理矢理でも人類との協和を目指す方向で終わって欲しかった。「お父さんが望んだことだから」みたいな。

 

あとは単純に能力が面白くて、世代ごとに能力が増してるって設定なのに父親がすでに範囲内の時の流れを遅くするっていう能力で、じゃあ今後どうなるのよってのが良い。

父親が娘を守るために家の中の時をずっと止めて外での数日が家の中の数年だったとか、銃弾を止めようとしたけど時間の停止ではないからギリギリ当たってしまうのとか、最後の最後に娘を守るのにやってくるミサイルから守るのとか絵もかっこいいし、使い方や時止めではないという厄介さが良い。

そうそう、最後にやってくるミサイルね。ミサイルが飛んできて家ぶっ壊すってのがもういいよね。普通のボロい民家をミサイルが狙ってくるっていうスケールのギャップが素敵よね。あー、ミサイル。ミサイルって良いなあ。範囲攻撃だから逃げようがなくて耐えるしかないっていうラスト感が最高だなあ。

 

細かいところだと、じいさんが強硬派で父親が穏健派なのは、じいさんの世代くらいが一番直接的な迫害で、なにかしらの人権運動の後が父親の世代なのかなあとか思ったり。まあもうちょっと「フリークスを守ろう」的な派閥が居ても良い気がしたけど、それでも派閥や色んな世代が出ると(俺にとっての)リアル感が出て深みが増すなあ。

 

ここもうちょいポイントは、母親が最後で「助けて助けて!」って叫びまくるところで、お前がピンチなのは分かるけど父親側もピンチなんだからそんなに懇願するなよと思った。そこは毅然とした態度で娘や父親たちを信じるほうがかっこいいなあ。

だけど「この施設から出られれば能力が使えるわ」「必ずあなたに会いに行く」ってめちゃくちゃ強さアピールしてたのは良かった。そして実際クソ強いのはアガる。移動の衝撃波で人がバシャッて死ぬの良いねえ。

まあその性格と能力の強さから結構能力頼りのキャラな気がするから「こんなやつと娘を一緒にしちゃダメだ…!」と思いましたが。

オチの悪さはB級だなあ。

 

まとめ

フリークスというSF設定を周りの人々の態度や施設、扱いから間接的に詳らかにしていくのがSFっぽくて好き。

序盤、誰が敵か分からないサスペンスや父親も能力者なら娘が能力使ったの分かるだろう、でも分からないのは何故?とか色々予想できて楽しい。

そして何より後半ラスト30分くらいの、敵対していた爺さんと協力して娘を守るというのが良い。娘も同時に母親を助けるミッションをしていてダブルドキドキで良かったなあ。

敵対してた爺さんが「人の目を欺くにはこうするんだ」って教えてくれるのも良い。父親は穏健派で引きこもっていたから実践的な面では弱くて、そこを思想は合わなくても活動していた爺さんが教えて上げるの熱いよな。正しい/正しくないを超越して自分たちの大切な人を守るために協力するの。

父親が命懸けるのも良いなあ。大切な人が助かるのを待つために能力使えなくて、全てが終わった後ボロボロに死にかけながら時間遅行を使って敵を倒してミサイルから救う。いいっすよねえ。

 

終わり

アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』2話

アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』2話見た。

絶妙にキャラが皆ダメ人間でいいなあ。大戸アイちゃんSyrup16g好きそう。COPYあたりが好きだぜ多分。

 

あらすじ

一話の終わりに出会った同じ境遇の褐色肌の女の子と仲良くなろうと主人公・大戸アイは懸命に話しかけるも「エッグ買う日を隔日にして会わないようにしよう」とか「予定が変わる時は連絡して。悪用しないでね」とか言われる。挙句の果てには主人公が友人を助けたいのは自分のためでその友人のためではない。私は妹のためにやってくるけどね。とか難癖をつけてくる。

所変わってエッグから出てくる人を助けるフィールドにやってきた大戸アイ。エッグ割らなきゃ敵は襲ってこないし~、とか余裕ぶってるがエッグはすぐに割れて中からメガネの新体操部が出てくる。覚悟を決めて前回みたいに守ろうとするが、メガネの新体操部は状況にビビって逃げ出す。慌てて後を追い屋上へ。

大戸アイは彼女を安心させるために「絶対に守るから」「でも引きこもりだけどね」と冗談めかして言うが、堂々と自分を出してくるアイの様子を見て彼女は「私は先生が怖くて学校をサボることも出来ないよ」自分の弱さ。

するとそこに新体操部の恐怖の対象であるパワハラ教師がやってきて襲われアイはふっ飛ばされ新体操部の子は連れ去られてしまう。

アイは朦朧とする意識の中、親友がいじめられてるのに自分は怖くて何も出来なかったことを思い出す。

そんな自分はもう嫌だと、再び立ち上がり新体操部の子を救うため、バケモノ化したパワハラ教師を倒しに向かう。

アイはそこでもまたやられそうになり、粘液で目隠しまでされてピンチに陥るが、自分のためにそうまでして戦おうとしてくれているアイを見た新体操部の子が勇気を振り絞り教師に反逆し支持を出し、そのお陰で勝利する。

どうにか救えた新体操部の子は「私のこと忘れないでね」と前回と同じようにまた消えていく。

現実世界では褐色肌の子が担架で運ばれていた。その様子を見た大戸アイはちゃんと「友だちになろう」と伝える。褐色の子は良く分かんないけど悪くないかもね、と微笑むのであった。

 

感想(前置き)

世界ってきっと広い(?)

 

感想

キャラが全員ちょっとクズというかね、生きづらそうなのがいいね。しかもガチの生き辛さではないのがね。例えば大戸アイだったら、多分この子学校とか大人とか社会とかが嫌いなだけなんだよね。馴染めないのをオッドアイのせいにしてるけどそれはそれ程重い理由ではなく、半分くらいは言い訳にしてると思う。「目の色がおかしいから私が擦れるのも仕方ない」みたいな。だから学校とか決まり事がなければ、全然友達と楽しく喋れるし結構元気で居られる。母親も先生も優しいから、もう甘ちゃんなのよこの子。

そういう甘ちゃんだから、本当の生き辛さを感じて自殺してしまった親友を助けられない自分を嫌だと感じてしまうんだろうと思う。

新キャラの褐色肌のねいるちゃんも嫌なやつとかではなくマジで本気で「友達ってなにそれおいしいの?」みたいなキャラなんだろうね。だからまあ2話ラストで結構するっと笑ってくれた。「人と関わる」ということに反発してたんじゃなくて知らなかっただけだから。

ねいるちゃんが軽蔑した「親友のためじゃなくて自分のためでしょ?」っていうのは、むしろ俺は弱い自分が嫌だから頑張るのは当たり前で、やらない善よりやる偽善というか、人を助けられる自分になることで結果的に相手は救われた気持ちになるんじゃないかなあと思うのよね。相手が良い人かどうか・どういう気持でやってるかって極論関係なくて、相手が「自分のためにやってるだけだよ」と言ってもそれでもこっちは救われたりする。

というか、本当の本当に相手のためにやるってなったらそれは自己犠牲で、自己犠牲に良いことはない。境界や定義が難しくて場合によっては悪くとられるかも知れないけど「自分がやることで相手が笑ってくれる・幸せに感じてくれる。そんな自分は好きで居られる」という自己満足が一番いいと思うのですよね。

だからねいるちゃんは自己犠牲的でとにかく早くエッグを割らなきゃって身体ボロボロになってんだと思うけどね。そこら辺も後で拾われるかな。

 

まあそういう訳で「親友を助けられなかった自分が嫌だ」って怖いものに立ち向かっていくのが好きなので今回のメイン戦闘も良かったなあ。

ちょっと前回の見て見ぬ振りでの葛藤と似てるからそこは弱いけど、単純に基本劣勢で血だらけになっても「ふざけんなババア!」とか汚い言葉吐きながら立ち向かうってのが俺の趣味なのですごい良かった。目が見えないとかってピンチになって、それを助けようとしてる子が手助けしてくれるのとかめっちゃ良いしな。この辺は俺のガッシュ好きな琴線に刺さる。バトル漫画(アニメ)での血はスポーツモノでいう汗だから、どれだけ血を流せるかで一生懸命度が変わってくるのよ。

悪いやつが悪いし、ステータス自慢してくるのもほんとにムカついて、そこに主人公が「ただのパワハラですからぁッ!」ってぶっ倒すのもいいよな。

 

早めに欲しいシーンとしては大戸アイが「私ってダメなんだよ」と自分と向き合うシーンが欲しい。悲劇のヒロインぶって笑いながら言うんじゃなくて本気で言うところがないと、今の所マジでただのクズなので。それか誰かに「あんたクズじゃん」って言われるとかね。

 

そして希望的観測になるが、まだ出てないキャラで静かめのヤンキーみたいなキャラがいるっぽくて、そいつがEDなんかのカットを見る限りすげえ好きなれそう。めちゃくちゃちゃんと一人で生活してて自立してるんだけど人と距離を取ってて、すれ違う楽しそうな子どもたちを遠くから見て微笑む。でも自分はそうなれないの分かってるから遠くから見つめるだけっていうね。怖がられるけど静かなだけで喋ると意外と普通で、だけどそんなに人と関わりたい訳でもないから誤解は解けないままというヤンキーだよ多分。

全然違ったらどうしようね。ふふふ。

 

キャラ評とかも含めてだけど俺の観測は多分に少年漫画的なルーツに端を発するからかなり外れる。(『ゾンビランド・サガ』時、大敗)

 

まとめ

基本的に俺の好きな要素が多い。あとは主人公がクズであることが指摘されればもっと心から楽しめそう。(しかし主人公がただのクズってのは重要なファクターと捉えられてそうで後半に持ってこられるかもしれない…)

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Syrup16g聞いて共感してて欲しい


終わり

 

 

追記

ここは敢えて先を予想したり、現在気になってることを掘り下げて能動的にこの作品を楽しんでいこうと思う。Twitterに書こうかなと思ったけど絶対長くなるので(思考をまとめながら書くから)こっちに書こうっと!

 

どうしても引っ掛かるのが上の感想でも書いた「大戸アイってクズじゃない?」っていう疑問なのよね。要は作品内でクズだと言及してくれるならそこも含めて「頑張れ」と応援するけど、制作側がそこに無頓着で「面白いでしょ」と考えているならば応援しない。

これはゾンビランド・サガの巽が一見良いやつに見えてやってることは死んだやつを無理やり生き返らせて無理やり夢を叶えさせようとしているのが嫌だった時に似てる。生き返らせただけじゃなくゾンビにしてハンデを負わせて、たまたま皆がいいやつだったし上手く行ったから良いけど、そうじゃなかったらかなり罪深くて、だからいつかフォローが入るんだろうなと思ったらずっと巽は「めちゃくちゃ良いやつ」として描かれ続けた。

おそらくワンダーエッグ・プライオリティではないとは思うけど、…。

大戸アイを応援するか絶妙に悩むところに、この「こいつは本当に良いやつなのかどうか問題」があって、現在意外と主人公の掘り下げってされてないんだよな。

なんで大戸アイは学校が嫌いなのか、学校に行かなくなったのか、おそらく親友が死んだことが原因なのだろうけど、いじめから助けられなかったエピソードはあれど死んだことに対するエピソードはない。「あの時親友は助けられなかったから、今度は助ける!」って熱いけどお前親友死んでるんだよ、それに対してはどう思ってるんだ?「私のせいで死んじゃったから、二度と私のせいでは殺させない」(死に対して呵責がある)ならスッキリするんだけど。(それともそう言ってたか?)

正直ここの問題はおそらくタイトルの「プライオリティ」に掛かってくる話な気がしていて、他人を助ける前にまず自分を助けろよとか、他人に偉そうに言ってるお前はどうなんだ、っていう救いの優先順位のことではないかなあとか思う。まあ大体予想は外れるのだけど。

だからもしそこに話がフォーカスされて行くのであれば、現在大戸アイについて語られない構成になってるのも作為的で、段々「人を助けていい気になってるけどお前の現実は何も変わらないよ」というような話になるのでは。

そうなったらそうなったで良いんだけど、今このアニメで俺が楽しんでるところはダメ人間が勇気を振り絞って可哀想な子を血だらけになって助けるって部分で、そこを十二分に楽しむためには「主人公ってこんなに良いやつなんだな」ってことが分からないとならないのでお楽しみのポイントがズレてくる。

 結局アニメってターゲティングが俺じゃないから結構ズレてきちゃったりするんだよな…。これもゾンビランド・サガの話だけど、俺はゾンサガに少年漫画魂を見出したのに、実は百合アイドル物語だったっていうのがあるから…(実はというか俺が思い込んでただけで元々そうだったんだろうけど)。

 

 

 

はい。

 

 

 

展開は全体的に好きなんだけど主人公のことを微妙に好きなれないから、どういう子なのかもうちょい多面的に示してくれるといいなあ、と思う。けど核心なのかなあ。今ん所、親友の小糸ちゃんの方が信念あって好き。若干歪んでそうではあるけど。全体的に全員裏がありそうで、そこがなあああ。裏が丸見えなのにないみたいな良い話されると気になっちゃうよなあ。

 

終わり2

映画『シャッターアイランド』

映画『シャッターアイランド』見たというかほぼ聞いた。

すごくながら見なのであんまり詳しいこと言えないけど、ながら見の感じでは星2、3。「そうか…」って感じだった。

 

あらすじ

大戦ちょい後くらい、ある孤島に精神をすごい病んでる人達が入れられる病院があった。そこの病人が行方不明になったと聞いて、主人公である連邦保安官が相棒とともにやってくる。しかしその保安官は依頼された仕事の他に、自分の家族を殺した犯人を見つけるためにこの島にやってきたのであった。そうこうして、島を探索うちにこの病院の様子がおかしいことに気付く。主人公は段々と頭痛や手の震え、果てには死んだ家族の幻影や戦争中の出来事を白昼夢で見るようになってしまう。これは病院が仕掛けた罠だと思い探索し、とうとう本丸へ近づくが…

 

っていう話。ちゃんと書けるほどちゃんと見てないのでまあ。

 

感想(前置き)

俺のことは気にしないでください。

 

感想

個人的にオチが勝負系の話はタネが分かると興味をなくしてしまうので、『シックスセンス』にしろコレにしろ頭では「頭では面白いんだろうな」と分かるんだけどあんまり惹かれない。

ドラマの部分も切ないは切ないけど、技工のためのドラマに見えてしまうんだよな―。「最後ひっくり返すためのドラマで、ここの葛藤もオチがばれないように隠してて…」みたいな見方になるからあんまり好みじゃないなあ。

だけどオチや展開が分かってても面白いお話はあって(というか繰り返し見る作品はそうだしね)、やっぱネタがバレても感情が強い話や俺の好きな感情の話はグッと来るので、実は主人公の妄想だったって分かってから主人公がどれだけ戦えるかが勝負かなあ。ビューティフル・マインド』は統合失調症って分かってからすげえ面白くなるんだよね。

例えばこの映画だと話の全貌が分かる場所=灯台へ踏み込む時、理由が相棒なんだけど、こいつを助けたいって主人公に感情移入出来るほど仲良しとして描いてないんだよね。俺はとにかく感情移入して一緒に冒険したいから、もっと「相棒を助けたいよな!」ってエピソードを積み重ねていざ真実に辿り着いたら何もかもなかったって方が良いかなあ。

 

もとの話と全然関係ないけど「こうだったら面白いかも」ってアイディアでは、主人公が自分の状態に気付くくだりで、医者たちが「君がここで治ることを証明できたらロボトミー手術への反論の手掛かりとなる」的なことを言うので、主人公が病院を駆け巡る間に出会った患者たちがみんないい感じの人で、様子を見てきた主人公がそんな患者のために自分のトラウマを振り払ってロボトミー手術を拒否するって展開だったら俺は好き。全然話変わるけど。

 

本編に話を戻して。ラスト、(多分)敢えて痛みのある現実より妄想を信じたまま生きる、そっちのほうが個人は幸せだって選択をするけど、そんなのどっちが良いとか悪いとかじゃなくて、俺は絶対痛みのある現実を取ってほしい。これはもう俺の価値観というか、願いみたいなもの。妄想を選ぶ気持ちは痛いほど分かるんだけど、真新しい未来を諦めないでいて欲しいし、その先にはきっと良いことがあるって話を見たい。フィクションに対する俺のスタンスです。

 

終わり

漫画『チェンソーマン』10巻

漫画『チェンソーマン』10巻黄泉ました

 

今回は好き嫌いとかだけでなく色々書く気がするので今までの形式を無視して適当にやります。

 

以下

 

まあ色々あるけどこれだけは言える。マキマさんがかわいいと。会社のニコニコしてるけどミステリアスなクール系上司で「かっこいいけど近づきがたい人だよね―」「高嶺の花だな」って言われてる人がこっちが落ち込んで公園のベンチで項垂れてる時に急に現れて「どうしたの?」「手冷たいね」って手を握ってきたら好きになっちゃうよ!しかも元気だしてって善意で家にお呼ばれして飼い犬に対して「こんばんわんってしようね」ってギャップを見せられたら好きになっちゃうよ!デンジくんが「ここは天国だ」っていうのはものすごい納得する。

 

ただそれこそが「支配」なのよね。コレは俺が最近良く言う「与えられた幸せに逃げるな」というROTH BART BARON『極彩 | I G L (S)』の歌詞の話に通じるが。

楽であること、何も考えなくていいこと、自分より頭のいい人に自分の全権を委ねることはすげえ楽で心地良い。優しくされるし、愛されるし、めちゃくちゃドキドキして溶けちゃうほど気持ちいい。

けど結局それでアキくんもパワーも死んでしまう、殺されてしまうっていうね。そこにすら目を瞑ればそりゃ楽で溶けるほど気持ち良いままでいられるけど、本当にそれで良いのか?という。

『チ。――地球の運動について』の2巻も買って読んだけどこれも希望が無い代わりに深い絶望もない。期待するだけ裏切られた時ダメージが大きい。なら何も信じないで良いじゃんって問題提起でさ。まあテーマの打ち出し方やドラマの面では『チ。』の方が好きだけど…。こっちはデカイものに「支配」されてる人間は皆死ぬ時「地獄」を見ながら死んでいく。本当は信じていれば天国に行けるって宗教を信じてるのに。自分の信念に従ってる異端者のほうが満足な顔で死んでいく。っていうね。こっちのほうが好きなのよね。

まあそれは置いといて。

「支配」ってなんだろうって考えたら、金が無いとか夢がないとかそんなんじゃなくて、支配する人がいる限りどんな幸せも手の平の上だってことが一番きついなあって思った。チェンソーマンでいう、家庭を作っても全部潰す、とか友達もお父さんも殺したあなたが幸せになって良いはずないよね、とか。過去がずっと絡みついてきて未来を蝕んでいく。

マキマさんがチェンソーマンを使って戦争や飢餓を無くしたいってのも一見すげえ良くない?ってことに思えるんだけど、これもたまに俺がブログで言ってる「例えば人が死ぬという現実があるから人を深く愛せる」ってことと同じなんだよね。社会の内側が良くて清いものだとされるけど外側の存在無くしてはルールはありえない。そしてルールがあるということは外側は存在する。そこから目を背けていけない。戦争がない世界って平和がない世界ですよ。深い絶望がない代わりに目の醒めるような胸を熱くする希望もない。

この辺の考えは好きだからこそ、真っ当に返してほしかったんだよね!なんかさよく分かんないんだよ!一応本誌で最終話まで見てるんだけどさ。「危険でいやらしい気持ちだけどそんな支配も俺好きだから食っちゃいますよ」「それだけヤバいものだって知っても嫌いになれなかった」「だからこれも俺の一部なんです」って支配に支配されるのは嫌だけど支配を胸の片隅に置いとくのはいいかみたいな、否定するものじゃないな、それも支配が気持ちいいのは気持ちいいもんってオチだった気がするけどさ。その辺をクソ映画とも絡めてクソ映画はクソだけど存在は認めましょうやって「俺もどっかの観点から見たらクソになるし」「ていうかクソだし」「生きて笑ってるくらい良いじゃないスか」って(こうして書いてると「内側」と「外側」の話をしてて、マキマさんは「内側」として外側はいらんと言ってるが、デンジくんは「外側」として「でもルールから外れて見えなくなった人も生き続けてるんですよ」って主張してるから哲学的には俺の言ってることとものすごい一致してるな。気付いて笑っちゃった)でも分かるんだけど!強いなあとは思うけど!そういう人間がね、強いなあとは思うよ。メッセージの優しさは分かるけどね。

けどあくまで漫画として、フィクション、面白い大嘘としてね、(現実もメッセージも知ったこっちゃねーってことね)俺は友達を殺したやつは許さん!と怒って欲しいし、メタファーみたいなのに頼るのってあんまり好きじゃないんだよね。結果的に対置してしていってメタファーになるのは良いんだけど、なんつーかね。

俺とにかく馬鹿だから本当にダイレクトアタックが好きなんスよ。見終わった後にボロボロ涙こぼして泣き笑いながら「よし!頑張るぞ!」ってなんのわだかまりもなく前向きに言える話が一番好きなの。

勿論ね、NOT FOR MEなだけじゃんってのは分かってるけど、これは敢えて言わなきゃいけないことなんだよ。俺が俺でいるためにはね。こんなのはベストじゃないと。すまんね。

要は俺のベストとしてはマキマさんの「支配って気持ちいでしょ。争いもないよ。つまらない映画も必要ないよ」ってテーゼに対してデンジくんが他のキャラのこと汲み取ったり自分の人生を考えながら「確かにそうだけど、それじゃあ良いこともないじゃないですか」みたいなアンチテーゼをかましていくのがベスト。父親を殺してしまったこととかアキくんを助けられなかったこととか、そういう呪いがパワーとかポチタとかの存在で祝いに転じて勝つってのが一番好き。その上でクソを認めるってことは支配も認めるってことに繋がってマキマさんを食うってのが良いかなあ。

再三言うけど物語の解釈とか作者が何を書きたかったかとかそういうのはわざと度外視して俺にとって漫画とは?という尺度の元「こうじゃなきゃヤダ!」って話ですよ。

 

後は面白いなあとか上手いなあってところの話。

がっしりした機動隊の中にマキマ対策隊という超常能力部隊がいるのはかっこいい。燃えるね。

それとコベニちゃんがマジでゴミクズキャラですげえウケる。ハンバーガーショップチェンソーマンに店員が殺された時、他の店員は驚いてるんだけどコベニちゃんは驚いてないんだよね。元々そういう戦場に居たってのもあるけど、それでも人が死ぬという恐怖体験してるのにすぐ泣くコベニちゃんがビビらないのって変じゃん。

コベニちゃんが泣いたりビビったりする時って他人に怒られるときなのよ。自分に危害が加わる時だけめちゃくちゃ泣くの。コベニちゃんは自分さえ良ければ後はどうでもいいって価値観持ってるの。だから人が死んでも気にしないし、自分が助かるなら人が死んでもいいと思ってる。

これは一番「被支配」の性格だから「支配」との対置としてラスト付近コベニちゃん出してきたんじゃないかと睨んでるね俺は。悪い意味でのガキなんだよね価値観が。そいつがずっと泣いてるからもう本当に面白い。あの回は他の部分も含めてめっちゃウケた。

10巻最後らへんのバトルは、竜騎以降の特撮ものっちゅーか、こういう悪の仮面ライダー的なもの+庵野みたいなアニメだからこそより好き勝手出来るってのをやりたいってのはすげえ分かる。バトルに関してはホンマにかっこよくてワクワクする。三次元というか肉弾戦を広範囲で行うのとかね憧れるぜ。

あとはマキマさんだけが知ってるチェンソーマンに食われた恐怖「死の他にあった4つの結末」「子供の精神を壊すとある星の光」とかはものすごい妄想が捗ってワクワクするから超好きです。そういうファンタジーな妄想が現実にあったんだ!それがないのはこういう理由なんだ!って、絶滅した恐竜やオーパーツみたいなもんでね、楽しいのよ。

大体こんなものか。

 

まとめ?

好きな部分も多いし分かるんだけどドラマ部分に関してはド直球ストレートが好きなんや俺は!だから許さん!っちゅー話やね。

 

終わり

漫画『双亡亭壊すべし』20巻

漫画『双亡亭壊すべし』20巻読んだぜ。

藤田てんてー大好き。

 

あらすじ(つっても20巻目だし、さすがにまとめられないから適当に)(この巻の話をしたいよ)

双亡亭というミサイル打ち込んでも壊れないお化け屋敷。そのお化け屋敷からなんと遠い宇宙の生物が這い出てきて地球をぶっ壊そうとしているのだ!そしてその仲立となるのが坂巻泥努という絵描き。宇宙人与えてくれる最高の絵を描く環境や道具の代わり坂巻泥努は宇宙人が地球にやってくるための「扉」となる絵を描く利害関係を結んだ。

この地球破滅の発着点となる双亡亭を壊すべく売れない絵本画家タコハや幽霊を撃退する刀巫覡の紅など様々な人間がお化け屋敷を奔走する!

というのが全体像。

そして20巻では、敵の本丸かと思われていた坂巻泥努が、双亡亭を壊すべくやって来たメンバーの一人である紅と話すうちに少し心を許すようになる。そこに坂巻泥努についていた宇宙人や宇宙人側の悪い陰陽師が反旗を翻す。本来ならば反旗を翻すやつらなんか簡単に倒せる坂巻泥努だが、紅を人質に取られて言いなりになり、宇宙人から与えられていた超常的な力を奪われてしまう。しかしそれでも自分の信念のために折れない泥努は立ち向かう。

という敵が仲間になる展開でした!

 

感想(前置き)

CAUTION!好き勝手言います!

 

感想

やっぱよ、俺が藤田先生の漫画で好きなのは「本当は言いたいことあるのに言えないやつが本当の気持ちを自分なりに伝えられるようになる」ってところでさ。最初の帰黒と育ての親のババアの話からして良いんだよねえ。

ババアは帰黒のことをあんなに嫌って(というか情を持たず金づるとして)見てて、帰黒が喜んだ金魚の時だって「馬鹿だねえ」とか言ってるのに、本当はその時の笑顔を鮮明に思い出せるほどに焼き付いてるんだよ。「本当綺麗でしょうがなかったぞ」のババアの笑顔!ババアの笑顔より綺麗なものはない。

金とか目先の利益とかそういう欲望に囚われてずっと眉間にシワ寄せて、悪いことばっかり言ってたババア。自分の心の隙間を何で埋めればいいかわからないやつが悪態ばっかついちゃって、でも最後には本当の気持ちを言えるのって良いよねえ。それを帰黒が許せるのもいいよねえ。

なんか謝ってきても許さねえのがいい、みたいなさ。許すことが美徳だったのが逆張りで許したくないなら許さないで良し!みたいな風潮があるけどさ、許せるのであれば許すほうが俺は良いと思うなあ。許す許さないって憎悪や暴力と同じカテゴリだから、そりゃこっちに打撃を与えたやつを許さないで「ずっと反省していろ。死ぬまでな」というのは気持ちいいかもしれないけど、それって嫌いな相手と同じことしてない?って思うの。許せない方も許せない方できっと心にぽっかり穴が空いて、それを過去のせいにしてるのだろうね。原因の一つではあるんだろうけど、それで人生の全部が楽しくなくなってしまうのは嫌だなあ。だから許せるならば許せるほうが双方心地よいと思う。

まあここの帰黒はそもそもタコハと出会って、もう相手が謝ったらいつでも許せる準備が出来ていた状態なのでこうあるべきですけどね。

二匹の金魚買った回想シーンの、金魚が死んだ時「この金魚はもう一匹とは会えないんだね」という金魚に対する優しさがある台詞が好きだ。相手のことを常に思ってるんだってのが伝わるから帰黒のキャラがすげえ分かるよね。

後追い後追いの順番になるけど、ババアが謝る直前の「お前男に惚れたようだね」みたいな台詞で帰黒が照れて赤くなってるの、かわいい。し、お互いの照れ隠しのたわいない会話みたいなの良いよねえ。決戦(当人にとって覚悟のいる場面)の前のたわいない会話は本当に泣ける。COWBOY BEBOP』で決戦行く前にスパイクとジェットの何の意味もないいつも通りの会話とか超好きなんだよね。あ、それでいうと『月光条例』で月からの敵と戦う直前に月光がジジイと話ししたりエンゲキブとラーメン食うのもそうか。帰ってこれない非日常へ旅立つ前の心が柔らかくなるシーン。これがあると物語全体の覚悟量がグンと上がるね。

 

今回のメイン、坂巻泥努が味方側により始める話。

よくある話ではあるけどね、紅を犠牲にすれば勝てるのに武器の絵画から手を離すのは燃えるよね。

ていうか、なんか泥努ってかっこいいんだよね。いつもクールだし、何考えてるかよく分かんないし、怒る時も静かに怒る。絵を描けと言われても「己の意志以外では描かない」って顔色一つ変えずに言うし、ボコられても倒れず睨めつつける。みんなが「コイツら暴れたらやべえぞ」つってる宇宙人たちを意志だけで調伏させてしかも我関せずという。単純にかっこいいクールな魔王じゃん!

そいつが女の子のために「お前は…要る」っていうの、…萌えじゃん(死語)

予告でみんなの双亡亭への怒りや憎悪のせいで泥努の心変わりが認められないってシーンがあるっぽくてそれは楽しみだなあ。「双亡亭壊すべし」ってずっと憎しみで戦ってきた伏線というか、感情の葛藤が一個出るところみたいだね。

 

泥努も良いのだが、泥努をボコボコにする陰陽師が世界の破滅願っててその理由が「誰が積み立てたものも、世界が崩壊すれば全部が無になる。それが気持ちいい」ってのがほぼ俺がエヴァ好きな理由と同じだから「おーよくこの感情拾ったな―」って思いました。ちょうどこの前見た『マネー・ショート』に引用された村上春樹の言葉「誰もが心の底では世界が滅亡するのを望んでいる」というキャラですよね。

 

あとは嫌いではないと言うか、自分の興味の話なんだけど、俺多分めちゃくちゃ藤田和日郎好きと言ってるわりにバトルとか自体はめちゃくちゃ熱いかと言えばそうでもなくて、ちょっと長ったらしいなあとは思う。俺が好きなのは多分、いろんな葛藤を振り切って、それでも立ち向かうはなきゃならないやつにぼろぼろになりながら優しさとかで立ち向かうっていう、その動機と血まみれの笑顔なんだよね。上記したような大決戦に入る前のフリとか、あとは絵力か。恐怖に立ち向かって笑って死ぬために戦うのが好き。

双亡亭に関して言えば、双亡亭を壊すって目的はハッキリしてるんだけどフェイスレスとか白面みたいな最高に嫌なボスがいないので(また出てくるかもしれないけど。オオイミオウは出るの結構遅かったし)悪役が欲しいなあと思う。

 

まとめ

藤田先生の描くバトル(アクション)にキャラたちが懸ける「ドラマ」が好きだ

 

終わり