ジャンプ+新連載『その淑女は偶像となる』
ジャンプ+で始まった新連載『その淑女は偶像と』の感想です。
あらすじ
アイドルなんてはしたない、以ての外ですわ!なんていう淑女だらけのお嬢様学校に通うパーフェクトお嬢様の主人公。しかし実は(比較的)口も悪いアイドル大好きな女の子だった。
「なにやってんだか…」と思いながらも淑女のふりをしつつ、休み時間にはトイレの個室に引きこもってアイドル動画を見て過ごしていると、ある日元気いっぱいめちゃくちゃ明るい超絶前向きな新人アイドルが転校してきて「一緒にアイドルしよう」と誘われる。
そう、なんと主人公は解散した伝説のユニット「花色エトワール」のリーダーを勤めていた、元アイドルだったのだ!!!
感想(前置き)
歯に衣着せぬ素揚げで書くので、もしかしたら嫌だな~んって思うこと書くかもしれないよ。アテンションプリーズ。僕はストレンジカメレオン。
感想(本番)
結論からいうとかなり良かったです。
アイドル物なんだけど、スポ根ものというか、四天王や最強のアイドルを決めるアイドルリーグって若干のコロコロ臭のする設定とか熱くて好き。
んじゃあ「熱い」ってなんやねん、ってなった時、読みながら俺にとっての熱いは「自分にとって本当に一番大切なことを貫くこと」「そんな自分であるために自分と戦うこと」だなと思った。
ガッと好きだったのが、主人公の子のアイドルやめた理由を説明するシーン。アイドルとしてのお仕事の日に、大好きなお母さんが死んでしまったけど、それでも笑顔で収録に望めてしまったエピソード。主人公がめちゃ笑顔の中、本来フォローしようとしてた周りの大人が「なんだこいつ…」って引いてるのが良いよね。俺さ、本当は皆のためにやってるのに強すぎて化け物呼ばわりされてるヤツ大好きなんだ。吉崎観音の『ドラゴンクエストモンスターズ+』に出てくるドラクエ2の主人公がラスボスを倒したあと強すぎて奇異の目で見られるっての好きなんだよね。『金色のガッシュ』の清麿も最初そんな感じだったじゃん。頭良すぎて嫌われるっていう。こういうの大好物なの。じゅるり。
ほんで、迫害されて渋々去るパターンも好きなんだけど、今回の場合は自分でそんな自分が狂ってるって思って辞めてるのね。これもこれでまた、じゅるり。
「そうだ、こんな自分はおかしいんだ」って他人との比較で去っていく。自分と社会を天秤にかけるのは、自分と戦うことですよね。そして孤独なんですね。孤独ってのはいいですね。俺は孤独なやつは大好きです。
あと単純に本当はやりたいことあるのに(本当の自分があるのに)、お嬢様学校で居場所を確保するために自分を取り繕わなきゃならないって設定が好き。大きいもののせいで自分に嘘を付くのっていいなあ。最近『チ。地球の運動について』を読んで「あ、こういうの好きだ」って思ったね。
けどね~。これアイドルモノ読んどいて言うのはおかしいんだけど、俺は基本的に日陰者が好きなのよね。だからアイドルの「笑顔に”させる"」という行為自体に若干の烏滸がましさ感じてしまう。
だから逆にその後の主人公のこと大好きな半人前の転校生アイドルが、急遽出られなくなったアイドルの代わりに、出番増やしてお客さんが悲しまないように頑張る話は好きなのよ。人前ですげえ笑顔振りまいて、主人公は「はいはい体力おばけね」って控え室見に行ったら限界ギリギリで戦ってんのね。人前(観客の前)では平気なふりして笑ってるけど、その裏でゼーハー言ってんのってかっこいいよね。
やっぱ俺は称賛とか見返りとは無縁のところで戦って、それでも頑張ったからすげえ報われるって話好きなのよ。映画『サボテンブラザーズ』の最初はお金のために悪い奴らを倒そうとするけど、最終的には村人のために戦って、貰ったお金も「こんなのはいらねえぜ」つって突き返すみたいな、そういうのが好きなんですよね~~。『からくりサーカス』の勝がしろがねのために孤独に戦い続けるのも好き。
とりあえず一話の感想をまとめると、
自分との戦いで一度敗北を喫した人間が、下手でも一生懸命やってる転校生を見て「本当になりたかった自分」を思い出してまたアイドルを目指すようになるってのは熱くて好き。
なんだけど、そもそもアイドルというものに興味なくて特に燃えない(おいおい)ので一番カタルシスがある場面でチューニングが合わなかったっす。すまん!
過程は好きだし、ドン!って感じのハッタリ利いたガッシュみたいな影多めのキメ顔は好き。てか構成が普通にしっかりしてるのでいいっすよね。
ハイライトは言ったように主人公が挫折したシーンと転校生の子が頑張ってるシーン。ダメな奴が前向きに頑張るの好き。
以下二話の感想
初回から二話掲載ってそれもう一話じゃん!
ここでとにかく好きなのは、現在アイドル界を牛耳るトップフォーがおるんだが、その四人目・竜道寺龍星のキャッチコピー「不可能とは別の世界で生きてきた孤高の天才児」。これがマジで好き。他の三人も大概なんだけどこいつだけステージが一個上みたいで好き。「不可能はない」も「別の世界」も「孤高」も言うなれば天才の枕詞なので、天才と天才で天才と天才を挟んでるのよ。全部バンズのビッグバーガーかよ!
そしてこの後実際にこいつがライブするシーンがあるんだけど、そこでも「これだけの運動量で、汗一つかいてない…!」っていいハッタリだよね。好きだよ。その次のページのユニット名表記と「前年アイドルリーグ」「チャンピオン」ってのが黒コマ白文字で出る演出かっこよくて好き。
なんか全体的にこういうバカみたいで、でもかっこいいハッタリが多くてそこは好きだな。
………。
……………………。
今ずっと読み返しながら「めっちゃいいじゃん!」と言い切れない理由を探してるんだけど、多分俺は転校生の子、主人公の心を動かす役の若菜あるみちゃんがあまり好きではないなと。
前向きでバカな子自体は好きだし、主人公がウインナー欲しがってると思ってウインナーあげるシーンとか好きなんだけど、決めシーンの前向き加減が押し付けがましいんだよね。
主人公が現在の最強アイドルを見てトップアイドル目指すのなんて無理よ。って言ったのに対して、
「桜子ちゃん(主人公)はトップアイドルになるのは『無理』って言ったけど」「『やりたくない』とは一言も言わなかったから」
という「口では嫌だって言ってるけど本当は〇〇でしょ?」って構文で2回ほど話を転換させてくるんだけど、割と決めつけ口調なのが、まあ良いことは言ってるんだけど、決めつけられると反発心が湧くので俺はあんまし好きじゃない。
的確に本当の気持ちを突いてくるのはバカじゃなくて鋭いんだよね。そこがちょっとひっかかるところで、真っ直ぐなバカだったら上辺で取り繕ってたり大人ぶって分かったような気になってるところを「本当はこうしたいんじゃないの?」と言うと思うのよ。でも若菜あるみちゃんはまじで鋭いところを抉ってくるからちょっと怖いんすよね。
「私バカだからわかんないけどさ、本当は〇〇なんじゃないの?私だったらそう思うけどなー」くらいの安分守己な言い方のほうが好きです。意見を押し付けられると「あんたになにが分かるのよ!」ってなっちゃうので、キャラとしてはどことなく一歩引いてるか方が友だちになりたい感はある。どうしても「本当は~」って言わせるならクレヨンしんちゃんみたいな子供キャラや純粋無垢キャラで「無理とは言ったけどやりたくないとは言ってないゾ」つって、あと主人公の方も「うっさい!」って切れてくれると俺の好みにはなります。
近い感じにはなってるけど微妙にね…。なんか、だからチューニングが合わないっていうかね。
漫才見てて「たしかにそこも変ではあるけどそこ突っ込むのか」みたいな「もうちょい違うツッコミがほしいんだけど」みたいに感じることあるじゃん。それなのよ。え?ない?そうなんだ…。ないんだ…。
魔貫光殺砲!!
まとめ
俺が熱い!いいね!と感じる部分はあるし、敵キャラ(ライバルキャラ?)の感じも好きだし、絵もすごい良い。(良すぎてちょっと嫌だけど)(絵で持ってかれてる感じがしてね…。アニメでここ一番にOPかけるとどんな話でもいい話に見えちゃうみたいな)。けどチューニングが合わない。以上!!!!!!
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
終わり