見るなキタ━(゚∀゚)━!

トイレの「小」の方で流せるタイプの文章を書きます。そしてお前を許さない。

映画『FREAKS フリークス――能力者たち』

映画『FREAKS フリークス――能力者たち』見ました!!

めっちゃ良かった!!!星5!!俺は好きだなあ!!

 

あらすじ

家中の窓にカーテンやテープがひかれ、外の様子が見えない家の中で暮らす父親と年端のいかない娘。父親と娘の仲は良いが、娘は外にも出してもらえず、父親からは「外には悪い人がいて見つかったら殺される」と言われている。

しかしある日娘がどうしてもアイスを食べたくて家の前に止まっているアイス屋で買い物している子に窓から「アイス持ってきて」と念じると、その子がアイスを持ってきてくれる。

父親は何故その子がアイスを持ってきたのか分からないが、自分の娘が外界の人と仲良くしているのを見て「外の子と関わるな」と激怒。娘は余計に外への憧憬を膨らませていく。

そしてとうとう父親が寝ている時に娘は外に出て、屋台のアイス屋へ行ってしまう。アイスを売っているお爺さんに連れられて公園へ行くと、お爺さんに「君は特別な子なんだよ」と教えられる。そこに警官がやって来てお爺さんを誘拐犯だと思い銃を突きつけてくる。しかし、開眼しかけの少女の特殊な能力で警官を洗脳し事なきを得る。

帰宅後、また外に出たいのなら父親が眠っている時においでと言われ、それに従う。

再び会ったお爺さんにダイナーに連れて行かれ、謎の黒服の女に身売りされそうになるが、ダイナーの店員にお爺さんがフリークと呼ばれる能力者であることがばれ、店員を殺害、黒服の女も交渉相手がフリークだったと分かり捕まえようとするがお爺さんと少女はからくも逃げ出す。

帰り道で少女は、お爺さんは自分の祖父で、母親はまだ生きていることを知る。

家に帰ろうとすると父親が現れて祖父を撃退、娘はまた確保される。

娘の力が覚醒してしまったからにはもう自分では娘を守りきれないと、近所の家族に金を積んで娘を養子にしてもらおうとするが、娘がフリークであることがばれて拒否。

自宅でどうしようか悩んでいる父親のもとにまた祖父が戻ってきて娘を隠し通して普通の生活をさせたい父親と選ばれたフリークとして戦わせるべきだという祖父で口論になるが、その間に近所の家族が警察に通報。このままではまずいと思った矢先、娘の遠隔洗脳操作能力により警察を殺害。

その後、娘の能力により、囚われた母親と遠隔で交信。娘の能力で母親の脱出を手助けしようとするが、先程の警察殺害の騒ぎを聞きつけた対フリークス組織が少女の居る家へやってくる。

少女が母親を助ける時間を稼ぐために、父親と祖父は命懸けで対フリークス組織の足止めをする。

なんとか少女は母親を助ける事ができたが、代わりに父と祖父は生命を落とし、助かった母親と少女で世界に復讐をしようと飛び立つ。

 

みたいな感じか。前半がアイスを買いたいサスペンスで後の伏線を張るだけだからプロットしてどう書けばいいか、難しい…。

 

感想(前置き)

好きなことは好き、嫌いなことは嫌い、こうした方が好き!というのが物語を作る大切な気持ちであり技となる。なのでそういうつもりの感想です。

 

感想

おい!めちゃくちゃ良かったよ!俺はすごい好きだった!

なんとなくタイトルやパッケージ裏のあらすじで超能力者が出ることは分かってたから、父親が娘を監禁してるのは娘がやべえ能力者だからだろうなってのは予想つくんだけど、結局ことが明らかになるまで父親がヤバいのか外がヤバいのかが分からずにずっとハラハラして楽しかった。

娘の能力も洗脳はすぐに分かるんだけど、ある部屋が別の場所に通じてしまう現象は何の能力が分からなくて「結局なに使いなのだろう」とワクワク。

長いと評判悪い序盤が飽きずに見えたのは(レビューでそういうのあった。分かるの分かるけどここは自分の心を保つために敢えて悪態をつくぜ)一つが父親と娘の仲は良さそうだったこと。父親は外には出したくないから嘘をついてたけど、仲は良かったんだよ。「心を平静に保つ練習だぞ」といって本気で娘を罵倒するんだけど娘は「だってパパ、変な顔なんだもん」と笑う。それに対して父親が「大事なことなんだぞ」と、でも笑ってる娘に怒るに怒れなくて「ったく」みたいな態度とってしまうのとかなんかすごい良いんだよね。本当はこんなことしたくない、娘のことが好きなのに、でもより遠くの娘の未来を祈って、って感じが伝わってきて良い。

序盤が見えた理由の2つ目が、設定の提示の仕方が好きだった。フリークとは何か、どういう存在かっていうのを事件で間接的に示していたのが俺の好きなSF小説っぽくて良かった。特に父親からは「外に悪いやつが居る」「アイス屋さんは人攫いだ」と情報提示しおいて、アイス屋さんであるお爺さんが善か悪かと思わせながら、公園で警察官に捕まりそうになり、フリークスは迫害されているが、フリークスの中でもまた対立があることをエピソードで示したのとか良かった。

テレビでのフリークスについての報道も、強硬派と穏健派で別れてたり、一つのSF設定に対して派閥が別れてるのってリアルっぽくて好き。

 

前半はまあ誰が悪いのかってことと、能力が読みきれなかったこと、悪い人も人類VSフリークスの他にフリークス内での対立もあり、レイヤーによって敵味方が変わるのが良かった。

 

後半は、というかこの映画の俺にとっての全てなんだけど、お父さんが娘に「娘をフリークスなんかに産ませたくなかった。出来るなら普通の子が良かった」って言うのが凄い好き。異能者としての迫害は勿論、祖父も対フリークス穏健派も能力を利用しようとして娘を保護してくるが、お父さんだけは「ただ普通に幸せで居て欲しい」と願うのが好き。その上、お父さんは娘と妻を救うために死ぬっていう、命懸けでフラフラのボロボロになりながら能力を使ってせめて大切な人の命だけはと敵を足止めするのかっこいいよなあ。死に際の「お前は特別だよ」って台詞も、能力なんて関係なしに父親にとって娘は特別なんだよって愛があって本当に良い(ただ作中でそういう風に解釈されたか微妙なところで、娘には若干伝わりきってない感じがした)。

しかも死ぬのはお父さんだけじゃなくて、対立してたお祖父ちゃんも死ぬのよ。

お祖父ちゃんにとっては少女は孫であるし、その孫が助けようとしてるのは自分の娘で、その2人が協力して助かろうとしている、それを命がけで守る。思想は穏健派と対立したけど、娘や孫を守りたい気持ちは同じだったってのが泣ける。

この喧嘩してた男二人。娘をどうすれば幸せにできるか、結局極論のような対応策しかとれなくてどっちも分からなくなっていたけど、最後には命を懸けて娘を守るっていう。やり方は分からなくても大切な人を大切にしたいって思いだけは本当だったってのがとにかく良かった。

娘が母親を助ける能力を発動するためには父親の能力は使えない、その中で娘を守らなきゃならないって枷もテンション上がる枷だよね。

更にもう一歩俺好みにするなら、娘が母親を助けるか父親を助けるかの葛藤があればよかったな。どっちかしか助けられない、どうしたらいいの?からの父親が「パパは大丈夫だから」って言って一人敵に立ち向かうともっと熱いね。

とにかく父親が良かったんだよね。

 

 

まあだからちょっとオチで「よしママと娘で人類滅ぼすか!」となったのだけは頂けないけど。

 

革命前夜というかエピソード0みたいな感じなので描けないのは仕方ないけど、ちょっと無理矢理でも人類との協和を目指す方向で終わって欲しかった。「お父さんが望んだことだから」みたいな。

 

あとは単純に能力が面白くて、世代ごとに能力が増してるって設定なのに父親がすでに範囲内の時の流れを遅くするっていう能力で、じゃあ今後どうなるのよってのが良い。

父親が娘を守るために家の中の時をずっと止めて外での数日が家の中の数年だったとか、銃弾を止めようとしたけど時間の停止ではないからギリギリ当たってしまうのとか、最後の最後に娘を守るのにやってくるミサイルから守るのとか絵もかっこいいし、使い方や時止めではないという厄介さが良い。

そうそう、最後にやってくるミサイルね。ミサイルが飛んできて家ぶっ壊すってのがもういいよね。普通のボロい民家をミサイルが狙ってくるっていうスケールのギャップが素敵よね。あー、ミサイル。ミサイルって良いなあ。範囲攻撃だから逃げようがなくて耐えるしかないっていうラスト感が最高だなあ。

 

細かいところだと、じいさんが強硬派で父親が穏健派なのは、じいさんの世代くらいが一番直接的な迫害で、なにかしらの人権運動の後が父親の世代なのかなあとか思ったり。まあもうちょっと「フリークスを守ろう」的な派閥が居ても良い気がしたけど、それでも派閥や色んな世代が出ると(俺にとっての)リアル感が出て深みが増すなあ。

 

ここもうちょいポイントは、母親が最後で「助けて助けて!」って叫びまくるところで、お前がピンチなのは分かるけど父親側もピンチなんだからそんなに懇願するなよと思った。そこは毅然とした態度で娘や父親たちを信じるほうがかっこいいなあ。

だけど「この施設から出られれば能力が使えるわ」「必ずあなたに会いに行く」ってめちゃくちゃ強さアピールしてたのは良かった。そして実際クソ強いのはアガる。移動の衝撃波で人がバシャッて死ぬの良いねえ。

まあその性格と能力の強さから結構能力頼りのキャラな気がするから「こんなやつと娘を一緒にしちゃダメだ…!」と思いましたが。

オチの悪さはB級だなあ。

 

まとめ

フリークスというSF設定を周りの人々の態度や施設、扱いから間接的に詳らかにしていくのがSFっぽくて好き。

序盤、誰が敵か分からないサスペンスや父親も能力者なら娘が能力使ったの分かるだろう、でも分からないのは何故?とか色々予想できて楽しい。

そして何より後半ラスト30分くらいの、敵対していた爺さんと協力して娘を守るというのが良い。娘も同時に母親を助けるミッションをしていてダブルドキドキで良かったなあ。

敵対してた爺さんが「人の目を欺くにはこうするんだ」って教えてくれるのも良い。父親は穏健派で引きこもっていたから実践的な面では弱くて、そこを思想は合わなくても活動していた爺さんが教えて上げるの熱いよな。正しい/正しくないを超越して自分たちの大切な人を守るために協力するの。

父親が命懸けるのも良いなあ。大切な人が助かるのを待つために能力使えなくて、全てが終わった後ボロボロに死にかけながら時間遅行を使って敵を倒してミサイルから救う。いいっすよねえ。

 

終わり