見るなキタ━(゚∀゚)━!

トイレの「小」の方で流せるタイプの文章を書きます。そしてお前を許さない。

アニメ『デジモンテイマーズ』14話まで

デジモンテイマーズ好きだった気がするなあ、と見てみたら個人的に無印より好き。

脚本が小中千昭なんすね。

 

あらすじ(大まか)

デジモンはカードゲームやPCゲームとして親しまれている世界。主人公のタカトくんは他の子供達と同じくデジモンにハマり、友達とカードゲームで遊んでいた。ひょんなことから謎のデジモンカード読み取り機を入手したタカトくんは、授業も聞かずに考えていた「僕の作ったデジモン」のメモをそれに読み取らせてみる。するとその機械になんと卵が出来ているではないか。デジモンが生まれるんだとワクワクしながらその日は就寝。

その晩、タカトくんはデジモンテイマーが自分が持っている機械と似たものにカードを読み取らせ、パートナーのデジモンと一緒に他のデジモンと戦っている姿を見るという、夢のような不思議な体験をする。

そのことを学校の友だちに話しても誰も信じてくれない。あれは夢だったんだろうか、そう思ってあの機械を見てみるとデジモンの卵が割れている。きっと僕にも夢で見たような何かが始まるんだとワクワクしながら表示されるレーダーに従って建設中のビルに迷い込むと、そこには「僕の作ったデジモン」ギルモンがいるではないか。

 

というような1話から始まり、他の同じ境遇の子供達と出会ったり、ただデジモンと戦うだけではいけないことを学んだり、ギルモンと仲良くなったり、テイマーとはデジモンと一緒に戦うとはどういうことかを考えたりする話が続きます。

そしてそのバックには「デジモンはただのデータだ。人間が生み出してしまったミスだ」だから消す、という大人の組織もいて…と。

 

感想(前置き)

それぞれ自分の好きな食べ物があると思います。好きであればあるほど細かいこだわりがあると思います。そういうことを認識するのが物語づくりの練習になるとピクサーとかがいってるのでそういうタイプの感想です。よしなに!

 

感想

俺は幼少期の記憶を辿るにデジモンアドベンチャーが好きだと思ってたんだけど、序盤の感じはテイマーズのほうがかなり好きだなあ。

というのも、無印は十五少年漂流記で一気に異世界にいって「ここどこ?」とサバイバルするんだけど、テイマーズはじわりじわりと異界に近づいていくのね。俺は異界が好きだと思ってたけど、異界に行くことではなくて「異界がある」ことが好きなんだろうなあと気付いた。

現実世界の生活はちゃんとあって、友達や家族とのエピソードが有りつつ漏れ出した異界=非日常と関わっていくという構造が好き。

テイマーズはその部分をかなりじっくり描いてて好きだなあ。現実では異物であるギルモンをどうしようかとか、お母さんとお父さんには内緒でとか、進化してデカくなって取り返しがつかないし怖いしどうしようか、っていう悩みがあるのが良い。

感じとしては放課後の秘密のあれこれとか、最初は遊びだったのが段々ことが大きくなってアンコントローラブルになり「まだ遊びななのか、それとも命がけで事象と関わっていくのか」と覚悟を決める話に持っていくのがワクワクして好きなんですよ。

 

あとは全体に関して言うとカードスラッシュって要素が燃えるぜ。ガッシュロックマンエグゼで育ったから、「高速プラグインA、カードスラッシュ!」つって戦闘をメイキングしていくのって、いいっすよね…。恍惚…。同じデジモンでも、とにかくパワーを上げて倒そうとかスピードで翻弄しようとか、色々妄想が膨らむから…。

というバトル楽しい要素もありつつ、話の流れとしては「戦うだけで本当に良いのかな」ってテーマがあって、それこそがバトルの本質だと思っているのでそれも良し。「戦わなくていいなら出来るだけ戦いたくない。友達でいたい。けど戦うしか無いから、自分の街を守るためには強くなるしか無いから命をかける」という矛盾、アンビバレンツな気持ちが熱量を上げるわけですよ。

ただ今の所(14話時点では)テイマーズは、バトルに入るまでは上手いけど、バトルそのものは乗り切れなくて物足りねえ。「台詞で気持ちを説明しない」「直接言及しないことで深みをだす」というのを心がけているっぽいのだけど、バトルとか友情に関しては俺はハッキリ叫んだほうが絶対熱いと信じていて、そうじゃないと駄目だから物足りねえんだ。例えばレナモンとルキのケンカと仲直りも、分かるんだけどもっと「強いからパートナーなんじゃない、レナモンだからパートナーなんだ!」っていうのを思い切り叫んでほしい。そこは魂の叫びだから、バトルは魂勝負だから、ハッキリしてるほうが最高に熱いんすよ。日常パートは「あえて言わない」ことで伝えてくるの大好きだけどね。

 

そしたら順繰りに、疲れない程度に好きな回を書いていくよ。

 

1話

1話でかなり引き込まれたんだよねえ。めっちゃ丁寧なのよ。丁寧すぎるくらいで笑

デジモン出るの最後の方ちょろっと出るだけだからね。でもだからこそ、異界との接触がじわりと滲んでて良いの。

一話で惹かれたのは、正直デジモン関係ないんだけど、主人公のタカトくんが放課後一人で居残りさせられているところに加藤さんって女の子が犬のパペット(手人形)を持って「ワン」って話しかけてくるシーンね。放課後にかわいい女の子が手人形でワンワン話しかけてきてこっちの質問には答えずに「笛の忘れ物。『ワン』」「ふふふ」って笑いながらすっと去っていくの、ドキドキしちゃうね!さり際にて人形だけドアから顔を出して「真面目に反省文書かないと怒られるワン」って言ってくるんだよ。ここの加藤さんの顔は見せない、目は合わせない演出がにくい。女の子の方はこっちを全然意識してないのに、こっちはドキドキするということにドキドキするよ!まったくよ!

主人公より大人だけどやっぱり子供な女の子、あまりに好きすぎるぜ…。

それから主人公の家がパン屋やっててお父さんとお母さん出てくるのだけど、やっぱ家族がしっかり描かれている作品て好きなんだよね。クラスメイトや友達が描かれているのも同じ理由で好きなんだけど、これから起こる非日常と隣り合わせの日常がしっかりしてると、内緒感や秘密感、バレた時の葛藤とかぶつかり合い、そこから各々の立場でどういう態度を取るかって話になってきて、そういうのは見てて楽しい。内緒ってのは本当にスパイシーだから。

それから生まれたデジモンを探しに街の路地に入っていくくだりね!ここが本当最高!

人通りの多い通りから隙間に入っていって、排水溝の狭い道をねずみを触っちゃったりしながら進んでいく、まさに異界への道!って感じがして本当ワクワクする。直ぐ側は人通りが多い道なのに隣は静寂で誰も気づかない、誰もいない、開かれた雑然とした建設現場。そこでギルモンと出会って…ってのがもうね…。

しかもギルモンも自分が作ったからって自分の理想通りではないのよ。ギルモンの目の前のネズミに向かってでっかい火の玉吐くわけ。小動物を殺す。「意思疎通できないかもしれない」「異形の者なんだ」って恐怖で出会いが始まる。そこから段々心通わせていくってのが、いいんだよねえ。理解不能の全くの他者からパートナーになっていく

 

2話

2話は小中千昭さんの良いところが出てる感じするなあ。

クルモンていう純粋無知の権化みたいなデジモンを夜キスしてるアベック(あえてのアベック呼びでいかせてもらう)に出会わせて「何してるでクル~?クルモン知らないこと知りたいクル~」って言わせるのはホラー文脈の人のやり口だよね。そもそも子供向け番組で夜中道端でキスしてる奴ら出すのがちょっとすごいし、そこに無知なクルモンを出会わせる気持ち悪さね。子供と映画見てる時のベッドシーンみたいな、人間の獣性とか醜さを顕にさせるエピソードを入れるの、なかなかデジモンで出来ねえよな笑。

ホラー文脈でいうと、学校に迷い込んできたギルモンを先生が見かけてしまうっていうのもホラーぽい語り口にされてて面白い。授業やってるとこっちを覗く目があり、確認してみるも誰もいない。しかしドアには大きな爪痕が…って。小中千昭さん本人が「学校の怪談ですね」って言ってた。上手いし、怖くて好きだなあ。

しかし2話はなによりタカトくんとギルモンのやりとりが上手い上手い。

タカトがギルモンに待っててねと言うも、生まれたばかりの赤ちゃんみたいなギルモンは約束守れなくて学校に来ちゃう。で、学校で「変なのがいた」と騒ぎになってて、タカトが「もしかして」と思ってる間に給食のパンが全部食べられるという事件が起こってしまいタカトは絶望する。

もうここの自分の責任で大事になってしまって頭真っ白になっちゃって血の気が引いて体中に力が入らないって感じがすごい上手い。し、そんな時に出てくるテリアモンの「パートナー失格だねえ」って何気ない軽口がド刺さりして泣いて走り出しちゃうのが良いよね。「僕のせいだ、何がテイマーだよ」と思ってフラフラ走って、ふと空を見上げて「屋上にいるかも」という直感で屋上に行ったらちゃんといて、それで安心して、ギルモンも何の気なしで「あ、タカトぉ」とか言って飛び込んでくるから、怒るとかでもなくとにかく安心して言葉にならなくてとにかく抱きしめて、分かんないから「もう駄目だよ、勝手に動いちゃあ」って泣き笑いで言う。この感情の動きを台詞とかじゃなくて描くのか!ってすごい惹かれましたね。

 

3話からはちょっとまとめて感想。疲れてきた。

主人公タカトと友達になってくれる健良(じぇんりゃ)と強さを求めるルキの三人がメインなのだけど、この三人のそれぞれの思想と与えられているものが違うっていうのがいいんだよね。

タカトのギルモンは理想を作ったはずなのに意思疎通がうまく出来なくて「生き物」として育てなきゃいけない。ジェンリャは非戦主義なのにテリアモンは誰よりも早く進化できてしまうし、トリガーハッピー。ルキはとにかく強さを求めているのに先に進化するのは仲良しでやってる奴らの方だったり。ここらへんの欠けてるもの、欲しい物のチグハグがドラマになってて良いよねえ。

 

特にルキが好きでねえ。尖って「誰にも頼らない」「弱音を吐きたくない」って子は好きになっちゃうねえ。いつも「ふん」って感じで大人ですからみたいな雰囲気出してるのに、バカな男子どもがやるカードゲームが強くて女王とか呼ばれてるのも「こんな子いて欲しい~!」って子だよね。一人でカード並べて戦略考えて「これで、いける…?いや、駄目!」とか戦略に夢中になっている女の子、好き。「今度私をちゃん付けで呼んだら、蹴り飛ばす」ってやりとり良かった。

意外と家庭環境も悪くないのも好きで(そう思ってしまうのはアスカのせいなんだけど)、お母さんはモデルか女優やってて、母親の方は親というより友達感覚なのか、それに忙しいからあんまり一緒にはいられなくて、でも仲悪くはないって関係性がいい。あくまで俺のフィクションに対する好き嫌いとしてだけどさ、仲悪い家族とかあんまり見たくないのよ。子供向けの作品としてさ。

カードゲームやっててめっちゃ強い尖ってる女の子がお嬢様学校みたいなところに通っているギャップも好きですわねえ。

今後語られると思うけどルキが強さを求める理由とか、レナモンが「強さを求めるなら私を選べ」と滅私奉公してる理由が語られればなあと思う。

レナモンとギルモンの組み合わせも好きで、ギルモンって赤ちゃんだから馴れ馴れしくてもしょうがなくて、それに対するクールなレナモンの無言の保護者感が良いんすよね。

 

あとはテリアモンがあざとくてかわいいんだけど、こいつのことをかわいいねえナデナデってしちゃ駄目な気がしてるので絶対にかわいいねえナデナデってしないと心に誓ってる。めちゃくちゃかわいいんだけど、チョッパーと一緒で愛玩動物やペットではないから、そういう扱いをしてしまったら駄目なんだよね。彼なりの(性別があるかしらんけど便宜上彼と呼びますが)気持ちとか信念とかジェンリャに対する思いとかあると思うのでね、テリアモンにかわいいねえナデナデってするのはそれを踏みにじる陵辱行為にも等しいから駄目!絶対!

 

しっかりしてて良いのが設定ですよね。

デジモンがこっちの世界に出てくることを「疑似タンパク質が云々」とかでリアリティ出してるのが上手いぜ。そもそものデジモンの成り立ちがオープンソースで作られたものがいつの間にか子どもたちの間で人気になってるって設定はややホラーすよね。明確に誰が作ったか分からなくて、ただ面白くてみんなで作ってる内に手の負えない減少になってしまっている。しかもデジモンたちは意思を持ち何者かを「神」と崇めて人間世界に降り立ってくる。目的なく人が作ったのに人智を超えて知らぬところで神が現れてしまうという怖さ。どことなくエスケイプ・フロム・テルミナス - SCP財団っぽさがある。

 

13話は細かい台詞がうまくて、タカトくんの友達がマジのデジモンを見てビビってるというか嫉妬しててタカトくんと亀裂が生まれるのだけど、見かねた加藤さんが仲を取り持とうとしてくれるのね。「デジモンってよく知らないけどタカトくんの友達がデジモンだっていうなら私はデジモンは好きだワン」って言うんだけど男子としては引っ掛かりってそこじゃないんですよね。加藤さんからしたら「遊び相手なんだから好きだから好きでいいじゃない」って価値観、というか友達や生き物と関わる上での重きをおくところってそこなんだけど、男子にとっては好き嫌いは好き嫌いでも遊び相手とか友達とかそういうんじゃなくて、っていう捉え方の違いですれ違っててタカトくんが怒っちゃうのとかすげえ上手いんだよね。

「遊びなら嫌いになればそれでおしまいだよね」「ギルモンとは遊びじゃないんだ」っていう台詞がタカトくんの価値観を表しててすげえいいのよ。他者から見たら下らないお遊びに見えることでも、本人にとっては本気なんだっていうすれ違いね。ウソップ海賊団はお遊びだけど、でも他人からただのお遊びじゃんって言われるのは違うし、解散するときは本気で夢を追うために泣きながら解散するマジさ、みたいな…。そういう本気で楽しむ、というのが大好きなので、そこですれ違いを起こせるのは上手いっすね。

 

悪いやつの性格を表すのに、ジェンリャやジェンリャのお父さんに向かって「李健良くんだね」とか日本語読みで言ってくるのが上手い。本国の読みで訂正しても「日本ではそう呼ぶんですよ」っていう保守主義で排他的な性格を出してる。

 

地味に好きなのがテリアモンが窓にガンガンぶつかるところで、かわいらしいテリアモンが本能で獣むき出しになってしまっている気持ち悪さが惹かれる。人為的に所詮動物なんだなと思わせられる演出で良いです。

 

14話は戦闘入るまでの盛り方が超好き

悪いやつがゴキブリホイホイみたいなんでデジモンを一斉駆逐しようとしたら、デジモンに逆に利用されてクソデカいデジタルフィールドを作られる。悪いやつが本気で仕掛けた罠を意にも介さずに現実世界にリアライズしてくる。他のデジモンが悪霊のように吸われているブラックホールみたいなところから…。「人間ではなく我らの神に従う」と言ってくる怖さも良い。そうして出来たビルの屋上の広い空間にレナモンだけ偵察に行って、デジヴァイスで遠隔確認するんだけど相手の姿が見えない。「なんなのこいつ…」って恐怖感がすごいいい。

要は敵のデジモンが登場するまでに一話分くらい掛けてさ、悪いやつだと思ってた人間も利用されてまでもっと悪いやつが出てきてるんだよね。

 

でもここまで盛って出てきた奴がカッコいい虎なのがちょっとなあ。もっと不気味な人間タイプのやつとか、底しれぬ感じのやつに出てきて欲しかったなあ。それかせっかくデカいんだからもっとデカいことを強調したり、見える姿の一部がもっと悍ましい何かわからない獣だったりしたら燃えるなあ。

 

バトルに関しては、ギルモンはやる気だし進化もするんだけど、次々やられていく仲間にタカトくんが怯えて、ずっとギルモン殺されちゃうんじゃないかって恐怖があってそこは好き。進化してる最中もカードスラッシュしてるバンクの時もずっと不安な顔が挿入される演出が最悪の妄想が現実になるんじゃないかって怖くなっていいっすよね。

 

そんくらいワクワクしたからこそ、もっとタカトを追い込んでほしかった。タカトも血だらけになって死ぬくらい戦って欲しかったなあ。そのうえでシンクロするのよ。

友達たちもタカトくんを見直すけど、「マジの戦い」を見るからこそ見直してほしくて、エヴァシャムシエル戦でシンジのことバカにしてたケンスケとトウジが間近で戦闘を見て見直すやつ、あれが理想だなあ。嫉妬羨望どうせ遊びだろお気楽にやってるんだろという気持ちが、命がけをみてお互い尊敬に変わるってやつ。

 

 

 

はい…。

めちゃくちゃ長々書きました。

3話まで見た時点ですげえフィット感があったから早めに言語化しときたいなあとは思ってたんだけどズルズル14話まで見ちゃったぜ。

全体として熱さに欠けるけどバトル自体は面白くて好きだし何よりキャラと台詞が上手い。設定も好きなんだよねえ。

どうにか全話見たいとは思っているが、…果たして持つだろうか。

 

終わり