見るなキタ━(゚∀゚)━!

トイレの「小」の方で流せるタイプの文章を書きます。そしてお前を許さない。

アニメ『無職転生』2話まで

アニメ『無職転生』が面白いと勧められたのでちょっと見てみました。

面白かったっす。

 

あらすじ

30代半ばのひきこもりニートがトラックに轢かれ、気がつくと聞き覚えのない言語を話す夫婦の子供になっていた。そこは剣と魔法のファンタジー世界だった。

言語を学び見様見真似で魔法を使ってみると、母親が才能を認め魔法の先生を呼んでくれることに。やってきたかわいいジト目の女の子と優しい家族に恵まれ主人公はこう思う。

現世では虐められトラウマになってそのままひきこもりニートになってしまったが、ここでならちゃんと人生を行えるかもしれない。努力してやっていけるかもしれないと。

 

みたいな。

こうしてあらすじ書くとやっぱり転生モノのフォーマットの強力さが改めて分かる…。めちゃくちゃシンプルだ。

 

感想(前置き)

好き嫌いをはっきりさせて嫌いなものはどうやったら好きになるかを考える。それが物語づくりの練習になると昨日会ったモグラが言ってましたので、そういう感想です。よしなに。

 

感想

異世界転生モノは殆ど見たことないけど(もしかしたら全く無いかもしれない)、これは面白いと聞いて見てみた。

確かに面白くて、まあいわゆる「俺TUEE」系じゃないから(今でも使うジャンルか知らんが)だと思う。生まれ変わって普通に世界の仕組みを学んでいくし、恵まれている世界には生まれるけど、ありふれた恵まれ方でこういう恵まれ方してる人は世の中にいるだろうなっていう恵まれ方。

その恵まれ方と主人公が引きこもりになった理由である、高校時代の陰惨ないじめとのバランスが上手くて、「これなら夢見ることさえ忘れていた『普通』を、努力という未来を見られるかもしれない」という祈りがちゃんと刺さる。ちゃんと主人公にとって願いが切実であると思えるように描いてる。

 

1話2話は「人生やり直せるかも」って思えるまでで、そこに一役買った魔法の師匠の女の子が可愛くて可愛くて…。

ダウナー系なのにコミュ力高い子すげえ好きなんすよ。中学生くらいの大人のお姉さんってのも、いいっすよね…。へへ。

それにすげえこの子いい子でさ、主人公は異世界転生だから才能がすごいんだけど、この先生は才能がないのよ。教えられることも少なくて、呪文も無詠唱じゃ出せなくて、「師匠って呼ぶのは止めて下さい。あなたはすぐに私を追い越しますし、自分より実力のない者を師匠と呼ぶのはあなたも嫌でしょう」とか言うんだけど、でも変に僻んだりせずに村の人とも仲良くなってるし、旅に出て自分を鍛えなおそうとするし、良い子なんすよ。良い子は好きです。応援したくなるから。

本来は先生といえば引退した人が来るのに、こんな若い子が来たということはこの子はもう才能がないと言われたんだと思うのよ。現役選手はやれなくてコーチしか出来ないって言われたんだと思う。それなのに自分より才能ある子を教えるなんてさ。辛くて良いぜ。まだまだ未来のある子に対して「もう私が教えられることはありません」って、でも笑顔で「頑張って下さい」っていうのは切なくて好き。

 

引きこもりで外と他人が怖かった主人公が、髪の色で偏見を持たれ人付き合いをマイナスで入ってしまうのに1,2年掛けてちゃんと村の人と仲良くなっている師匠の姿を見て憧れるのも良い。

黙って誇らず淡々と頑張っている子はかっこいい。

 

 

人生をやり直す、というテーマは恒川光太郎の『スタープレイヤー』を思い出す。しかも結構バランスのとり方が似ている。

スタープレイヤーも30代半ばの無職の女性が異世界に行き10の願いを叶えられるスターボードというものをもらう話で、こちらも若い頃に通りに魔に襲われて足が不自由になり引きこもり無職になってしまったという過去を持つ。

10の願いで足の怪我を治すのと一緒に自分を美形にしたり若返らせたりする。自分を傷付けた犯人に復讐をしようとしたりする。でも結局どうやって幸せになるかというと、美形になったからすぐに幸せになるとかでもなく、その上で生きていくしかない。

 

俺の中で、虐められて引きこもりになって、うまく生きようにも見える未来がなくて、それでも頑張らなきゃいけないと押し付けられる世の中で恐怖や人生と戦いながら「お前なんか生きてるだけで迷惑だ」って言ってくる周りの人間を黙らせるためだけに苦痛を押し殺して必死で生きようとするのも、生まれ変わって幸せな家庭と少しの才能を持って「人生頑張ろう」って幸せになっていくのも結果は同じ気がするんですよ。

だって人が真っ当に生きていきゃあ周りは納得するし、本人も心が満たされるわけでしょ。結局いつだって邪魔なのは他人の欲望なんですよ。

無職転生やスタープレイヤーはそこら辺ちゃんと描いてると俺は思うので、それを否定する心はおそらく嫉妬心とかじゃないのかな、とは思います。

例えば足をなくした人がバーチャル世界で自由な足を得て走り回れるようになって、それで自信や希望を取り戻して幸せになるために頑張ろうと思えればそれでいいし、そこで「現実と向き合えよ」と言う人は単に倫理を装った足を引っ張りたい人なんじゃないかと思う。

願いがかなって努力する気力が湧くならそれでいいじゃん。

 

でもさ、物語内ならそれで納得できるけど、同時にそこまでやらないと人生って回帰できないのかなとも思うし、逆にたったそれだけ揃えば頑張れるのかな、とも思う。

両親の愛情をいっぱい受けて、見た目も人に馬鹿にされるほど醜くなくて、何かを理解するのにスッキリした頭を持つ。それだけ貰えれば頑張れるのにって世の中に怯えている人がたくさんいるんだろうな。

 

キリのない話なんだけど、結局選ばれなかった人間(酷いいじめを受けたり通り魔に刺されたり)が再度選ばれ直すことで人生を回帰してるので、やっぱりそこからすらもまた選ばれず零れ落ちた人間がいるってことも思っちゃうな。

 

だから、現実は転生なんてないので、棚から落ちてくるぼた餅を待つようなことだけを願うのも、それはそれでお門違いかなとも思う。人を恨んでるだけじゃ空虚ですので、自分で底から這い出していく根性も必要ですよ。まあこれもバランスですわね。

 

転生モノ自体に対する感想になっちゃいました。

無職転生は、まあこれから先どういうふうに転がっていくかで評価変わるかなあ。1話2話は面白かったです。

前世と比較して恵まれたことに甘えそうになる(努力を辞めそうになる)けど、貰った才能と向き合って血を流しながらも頑張る、そんな話になると良いけど…。幸せにかまけている奴は応援したくねえからな。

 

終わり