見るなキタ━(゚∀゚)━!

トイレの「小」の方で流せるタイプの文章を書きます。そしてお前を許さない。

漫画『双亡亭壊すべし』20巻

漫画『双亡亭壊すべし』20巻読んだぜ。

藤田てんてー大好き。

 

あらすじ(つっても20巻目だし、さすがにまとめられないから適当に)(この巻の話をしたいよ)

双亡亭というミサイル打ち込んでも壊れないお化け屋敷。そのお化け屋敷からなんと遠い宇宙の生物が這い出てきて地球をぶっ壊そうとしているのだ!そしてその仲立となるのが坂巻泥努という絵描き。宇宙人与えてくれる最高の絵を描く環境や道具の代わり坂巻泥努は宇宙人が地球にやってくるための「扉」となる絵を描く利害関係を結んだ。

この地球破滅の発着点となる双亡亭を壊すべく売れない絵本画家タコハや幽霊を撃退する刀巫覡の紅など様々な人間がお化け屋敷を奔走する!

というのが全体像。

そして20巻では、敵の本丸かと思われていた坂巻泥努が、双亡亭を壊すべくやって来たメンバーの一人である紅と話すうちに少し心を許すようになる。そこに坂巻泥努についていた宇宙人や宇宙人側の悪い陰陽師が反旗を翻す。本来ならば反旗を翻すやつらなんか簡単に倒せる坂巻泥努だが、紅を人質に取られて言いなりになり、宇宙人から与えられていた超常的な力を奪われてしまう。しかしそれでも自分の信念のために折れない泥努は立ち向かう。

という敵が仲間になる展開でした!

 

感想(前置き)

CAUTION!好き勝手言います!

 

感想

やっぱよ、俺が藤田先生の漫画で好きなのは「本当は言いたいことあるのに言えないやつが本当の気持ちを自分なりに伝えられるようになる」ってところでさ。最初の帰黒と育ての親のババアの話からして良いんだよねえ。

ババアは帰黒のことをあんなに嫌って(というか情を持たず金づるとして)見てて、帰黒が喜んだ金魚の時だって「馬鹿だねえ」とか言ってるのに、本当はその時の笑顔を鮮明に思い出せるほどに焼き付いてるんだよ。「本当綺麗でしょうがなかったぞ」のババアの笑顔!ババアの笑顔より綺麗なものはない。

金とか目先の利益とかそういう欲望に囚われてずっと眉間にシワ寄せて、悪いことばっかり言ってたババア。自分の心の隙間を何で埋めればいいかわからないやつが悪態ばっかついちゃって、でも最後には本当の気持ちを言えるのって良いよねえ。それを帰黒が許せるのもいいよねえ。

なんか謝ってきても許さねえのがいい、みたいなさ。許すことが美徳だったのが逆張りで許したくないなら許さないで良し!みたいな風潮があるけどさ、許せるのであれば許すほうが俺は良いと思うなあ。許す許さないって憎悪や暴力と同じカテゴリだから、そりゃこっちに打撃を与えたやつを許さないで「ずっと反省していろ。死ぬまでな」というのは気持ちいいかもしれないけど、それって嫌いな相手と同じことしてない?って思うの。許せない方も許せない方できっと心にぽっかり穴が空いて、それを過去のせいにしてるのだろうね。原因の一つではあるんだろうけど、それで人生の全部が楽しくなくなってしまうのは嫌だなあ。だから許せるならば許せるほうが双方心地よいと思う。

まあここの帰黒はそもそもタコハと出会って、もう相手が謝ったらいつでも許せる準備が出来ていた状態なのでこうあるべきですけどね。

二匹の金魚買った回想シーンの、金魚が死んだ時「この金魚はもう一匹とは会えないんだね」という金魚に対する優しさがある台詞が好きだ。相手のことを常に思ってるんだってのが伝わるから帰黒のキャラがすげえ分かるよね。

後追い後追いの順番になるけど、ババアが謝る直前の「お前男に惚れたようだね」みたいな台詞で帰黒が照れて赤くなってるの、かわいい。し、お互いの照れ隠しのたわいない会話みたいなの良いよねえ。決戦(当人にとって覚悟のいる場面)の前のたわいない会話は本当に泣ける。COWBOY BEBOP』で決戦行く前にスパイクとジェットの何の意味もないいつも通りの会話とか超好きなんだよね。あ、それでいうと『月光条例』で月からの敵と戦う直前に月光がジジイと話ししたりエンゲキブとラーメン食うのもそうか。帰ってこれない非日常へ旅立つ前の心が柔らかくなるシーン。これがあると物語全体の覚悟量がグンと上がるね。

 

今回のメイン、坂巻泥努が味方側により始める話。

よくある話ではあるけどね、紅を犠牲にすれば勝てるのに武器の絵画から手を離すのは燃えるよね。

ていうか、なんか泥努ってかっこいいんだよね。いつもクールだし、何考えてるかよく分かんないし、怒る時も静かに怒る。絵を描けと言われても「己の意志以外では描かない」って顔色一つ変えずに言うし、ボコられても倒れず睨めつつける。みんなが「コイツら暴れたらやべえぞ」つってる宇宙人たちを意志だけで調伏させてしかも我関せずという。単純にかっこいいクールな魔王じゃん!

そいつが女の子のために「お前は…要る」っていうの、…萌えじゃん(死語)

予告でみんなの双亡亭への怒りや憎悪のせいで泥努の心変わりが認められないってシーンがあるっぽくてそれは楽しみだなあ。「双亡亭壊すべし」ってずっと憎しみで戦ってきた伏線というか、感情の葛藤が一個出るところみたいだね。

 

泥努も良いのだが、泥努をボコボコにする陰陽師が世界の破滅願っててその理由が「誰が積み立てたものも、世界が崩壊すれば全部が無になる。それが気持ちいい」ってのがほぼ俺がエヴァ好きな理由と同じだから「おーよくこの感情拾ったな―」って思いました。ちょうどこの前見た『マネー・ショート』に引用された村上春樹の言葉「誰もが心の底では世界が滅亡するのを望んでいる」というキャラですよね。

 

あとは嫌いではないと言うか、自分の興味の話なんだけど、俺多分めちゃくちゃ藤田和日郎好きと言ってるわりにバトルとか自体はめちゃくちゃ熱いかと言えばそうでもなくて、ちょっと長ったらしいなあとは思う。俺が好きなのは多分、いろんな葛藤を振り切って、それでも立ち向かうはなきゃならないやつにぼろぼろになりながら優しさとかで立ち向かうっていう、その動機と血まみれの笑顔なんだよね。上記したような大決戦に入る前のフリとか、あとは絵力か。恐怖に立ち向かって笑って死ぬために戦うのが好き。

双亡亭に関して言えば、双亡亭を壊すって目的はハッキリしてるんだけどフェイスレスとか白面みたいな最高に嫌なボスがいないので(また出てくるかもしれないけど。オオイミオウは出るの結構遅かったし)悪役が欲しいなあと思う。

 

まとめ

藤田先生の描くバトル(アクション)にキャラたちが懸ける「ドラマ」が好きだ

 

終わり